2005年6月:Complete DVD Box [Otto Valvole] dedicates to Penguin with Love :Vol.1

 [Index]

ベルリン・天使の詩  西独、1987 仏 128mins 
   Der himmel uber Berlin

時の翼にのって  1993 独 147mins
   Faraway so close! 

夢の涯てまでも  1991 日、米、独、仏、豪 157mins
   Until the end of the world  

リスボン物語  1995  独、ポルトガル 104mins
   Lisbon Story

パリ、テキサス  1984  仏、西独 147mins
   Paris,Texas
The Million Dollar Hotel 1999 

バグダット・カフェ
 Out Of Rosenheim

その男ゾルバ
 Zorba the Greek


http://www.ekimaerindows.com/main/dp/soko/sokoindex.html


[Background]

It might be a secret desire. 
Or, it might be love. 

It is surely, love as homo sapiens. 
It is surely., homo sapiens love.

However, some convenience is not expected. 
It only executes it faithfully to my feelings. 

What is true freedom?
Live in my feelings honestly. 

 


[Der himmel uber Berlin]

天使ダミエルには様々な人々の心の呟きが耳に飛び込んでくる。
フラリと下界に降りて世界を経めぐる彼は、空中ぶらんこを練習中のマリオンを見そめる。
彼女の“愛したい”という呟きにどぎまぎするダミエル……。
マリオン一座は今宵の公演を最後に解散を決めた。
ライブ・ハウスで踊る彼女にそっと触れるダミエル。人間に恋すると天使は死ぬというのに……。
そこへ、撮影のためベルリンを訪れていたP・フォーク本人が、見えない彼にしきりに語りかける。
彼もかつては天使だったのだ……。

[ノルウェーの林] 英蟯虫:第三章からの抜粋:初出掲載誌:『七味八珍』欧米版'96 Vol.13

 一度新宿で中国旅行の同窓会みたいなものをしようという動きが自然に発生した。
やはり東京はこんな時はとても集まるのに便利だった。参加者の全員はお互いには全
て知り合いではなかったが、誰かの知り合いを通じて必ず関係がつながり、どこかで
切れる事はなかった。それと、同じ時期に同じ地域を旅していたりとか共通項が多か
った。場所は新宿の中国料理屋だった。
 その時、初めて山内さんに出会った。中国旅行用に短く切られた髪はまだそんなに
のびておらず眼鏡をかけた山内さんは独特の雰囲気を醸し出していた。その時はまだ 
さんは自分と同じくらいの齢だと思っていた。あっと言う間に は終わりその夜は散
会した。
 糞みたいな平日が済み、次の土曜日には山内さんの学校の学園祭に招かれて山内さ
ん達の出店である中国料理屋で山内さんの友達たちと遊んでいた。その夜は学校の敷
地内併設されている学生寮に泊まる事になった。男子寮の懇談室に女子学生がなだれ
込み大討論大会になった。その学校はリハビリテーションに関係するプロを養成する
学校で目的意識を持った学生が多くみんな真面目で熱心だった。特に精神医療を学ぶ
連中は臨床実習を通じて溜まった自分達のストレスをどう発散していいのか、と悩ん
でいた。
  翌日は当然日曜日で、午前中で学園祭自体は終了した。一般客が帰り始めた学校の教室
では各出店では打ち上げが始まっていた。僕と山内さんは何故か二人きりになって教
室の壁を背もたれにして畳に並んで座って話し始めていた。二人とも量は少ないが承
興酒を長い間かけてチビチビやりながらすっかりホロ酔いのいい気分に浸っていた。
外は梅雨の最初の頃の曇り空なのに窓からは午後遅くの日差しが差し込み暖かかっ
た。二人の間に言葉は少なかったが意志の疎通は出来ていた様な気がした。

 学園祭の後から山内さんと二人だけで過ごす週末が増えた。
 相変わらず二人は言葉が少なかったが、山内さんは先日渋谷の映画館で
ヴィム・ヴェンダースの映画「ベルリン天使の詩」を観て、あまり内容には触れずに
遠回しに一人でこの作品を観るように勧めていた。その時はその理由についてはわか
らなかった。あの作品は面白いから今度観てみてよ、と言う感じにしか受け取れなか
った。
 数年後ビデオを借りて、ようやくこの「ベルリン天使の詩」を観て愕然とした。 
 後年、最初に訪れたベルリンで、6月17日通りにある戦勝塔を見上げて深い溜息
をつくことになる事も、この頃は考えも及ばなかった。




英蟯虫(談):A Making of 「ノルウェーの林」