2005年12月:携帯電話を失くした場合の処方箋

その日は朝から不気味であった。
前夜予測された夜中から明け方にかけての降雪が無く、丁度朝の7時頃から空が不気味な
様相を呈してきた。
電車とヒッチハイクで会社に向かう。
空を見上げると・・・鳥達もなんだか普通と違う様子であった。

しばらく冷え込んだ通りを歩くと雪が舞い降りて来た。
ノルマンディーに降下して来た連合軍の白いパラーシュートに見えた。
通りは一瞬で白く塗り潰されていった。


宴会日に相応しい良い一日になりそうであった。





チャーリーの秘密のチョコレート工場ではないが
工場ももう少しでホワイト・アウト間近であった・・・。
(宮嶋の様に「シュールだ」と呟きながらその様子を撮った)


  
朝から最優先で行った事は勿論集金である。
  
守銭奴と罵られようが参加者の意思確認と集金が一番大事なのである。
   また急遽出席出来なくなった人の穴埋めも急務であった。

で宴会は無事に閉会となった・・・

駄菓子菓子・・・


新しい試練が待ち受けていただのであった・・・


携帯電話を失くしたのかも?否まだ身の回りの何処かにある筈・・・
と気がついた頃・・・に聴こえて来るBGMは

 J.S.バッハ:トッカータとフーガ
 もう少し正確に言うと”トッカータとフーガニ短調 BWW 565”
である。

数時間前の記憶をまさぐる・・・。

先ずは経路・・・宴会場・・・バス乗り場・・・タクシー・・・コンビニ・・・宴会場・・・マドンナの家・・・宴会場・・・
道路・・・タクシー・・・自宅・・・

9時半まであった筈。
10時半頃に失くしたことに気付く。
しゃがんだのはコンビニのケーキ売り場・・・マドンナの家の玄関・・・宴会場(後片付けの時)

拾ったタクシーで親分を探しに宴会場に戻る際に再度宴会場とその付近を探す。
携帯電話も親分も行方不明。
仕方ないのでタクシーでアジトに戻る。


1.自分の携帯電話番号を知っていて、尚且つ夜中に電話しても問題ない人に電話をかけ、
  自分の携帯電話の番号を確認した。
 (誰だって真夜中の電話は問題は無いわけではないが・・・緊急時だったのでごめんなさい)

2.NTTドコモの番号を調べて契約を一時的に止めてもらう。
 この時に再開時に必要な暗証番号を決める。
 それと落とした携帯電話に電話がかかってきた場合のメッセージを決め
  アジトの電話番号をアナウンスしてもらうよう設定した。


 翌朝また宴会場とバス停付近を探す。


3.事務所に出向きコンビニに電話する。(「そういった預かりモノはない」と一言)
 タクシー会社の本社は「営業時間外です」という返答
 最寄のタクシー会社はずーーーーっと通話中

4. 110番に電話すると「事件ですか?事故ですか?」と聞かれる。
 「落し物」と説明すると別の番号を教えてくれる。

5.その最寄警察の落し物担当の電話番号にかけ口頭で遺失物届けを出す。
  (交番や警察署に出向く必要は無いようだ)
 その際に他の携帯電話の落し物に該当品が無いか調べてくれる。
  勿論該当品は無かった。
 
6.宴会の残り物を持ち帰った数名に電話をかけ
 持ち帰った食材や麦酒とともに冷蔵庫に携帯が冷やされていないか
 どうか確認してもらった。

 2晩明けた日の朝、アジトにて電話を待つ。
 

また自分の携帯にメールを定期的に送信する。
 (拾われた方はここまで連絡下さい・・・)

 

ボスから「携帯保管中」とのメールが届く。

ボスに電話する。

もう少しで洗濯される運命にあったそうである。

宴会場で後片付けの際に滑り落ち、その後ボスの鞄に仕舞い込まれた様である。

時間的にもその直後に
J.S.バッハの”トッカータとフーガ”が鳴り始めたので結構
正確に認知していたことになる。

 

後日、携帯を受け取り、契約を再開し、警察に電話すればそれで本件は完了であった。

今回は無事に見つかったので良かったが出てこない場合はまた別の
処方箋が必要である。