"喜劇!駅前林道"単車偏屈者遍歴



英蟯虫:山葉RZ250


  中免は取ったが金が無い!バイクが無い! 
 地元の薬屋の倅が真っ赤な初期型RZ250を手に入れてきたが「おっかなくて乗れねぇ」と言うのでしばらくの間MXC50と交換してもらった。いい奴だった。
 そして信号GP。3速くらいでブッちぎったがT字の右折でフル・フレーキングした際に
フロント・ロックでいきなりの転倒。やっぱり初心者やね。走って、曲がって、止れて、バイクはなんぼやね、と痛感した。幸いRZ250は大した損傷もなく、それからしばらくして友人にRZ250を返した。やっぱり自分のバイクが欲しい。

 しっかしあのRZ250は真っ赤なタンクでチャンバーは無骨な純正の真っ黒な塗装で
いかにも初期型という感じで渋かった。世界GPでさえ今年から4サイクルになってしまった
ことを考えると、時代としてはあの頃が一番美味しかったのかもしれない。
ボロロンボロロンと吹け切らず白煙をもうもうと上げるばかりの当時のガサツな2サイクル車に
乗るような者は社会の除け者バイク乗りの中でも更に異端児であった。

 ある年の6月頃の早朝、関西に帰省していた先輩(と言っても面識はない)が
北陸自動車道の松任ICを目前にし単独で転倒し亡くなった。
 あの日の朝は雨が降っていたと思う。
その先輩が乗っていたのもRZ250だった。
噂では350のエンジンに換装していたと後に聞いた。
当時は350のエンジンに換装するのが流行だった。
 

     


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